オータム クラシック(2017 Autumn Classic International)で「悔しさ」の収穫

2017年4月20日 – 4月23日の3日間、カナダのモントリオールでオータム クラシック(2017 Autumn Classic International)が行われた。羽生選手は3年連続出場していて、GPS(グランプリシリーズ)前の調整試合としているようだ。


今大会は2017/2018 ISUチャレンジャーシリーズ(ランキングポイント加算、ベストスコアはISUに認定)10戦中の第3戦目に該当する。


前提として『羽生選手はスロースターター』と言う認識がファンの間では浸透している。なので試合結果よりは「新衣装はどんなのかな?」「メディア・デーのニュースでは細切れだったプログラムの通し演技がやっと観れる!」「元気かな?」と言う思いでこの試合を待っていた。

ただ事前情報でマスコミが50社も(2年前は15社、昨年35社)集結している事と、先々シーズン世界王者のハビエル・フェルナンデスなどの有力選手が多数出場する事にもなって、昨年までのアットホームでのんびりした雰囲気の大会では無くなりそうな予感もしていた。

日本では観戦ツアーも企画されて、自力(観戦+エアー+ホテル)チケット確保組も加わった大量のファンが現地へ出発した。


日本開催の羽生選手が出場する大会であるNHK杯、GPF名古屋(GPSの結果による)、全日本選手権のチケットは『抽選』なので、取れるかどうか判らないと言う状況。クジ運が必要になってくる。海外戦(オリンピック以外)のチケットは、日本ほどフィギュア人気が盛んで無いので確実に確保は出来るようだ。


  • SP(ショートプログラム) 112.72点(自己ベスト+1.77点)WR更新
  • FS(フリースケーティング)155.52点(自己ベスト-67点)

と、まぁ高低差が激しい結果になった。ファンとしては想定内で「いつもの羽生ジェットコースターだね」という感想だった。

ただ羽生選手本人は、マスコミの注目度や日本からファンが沢山来た事、オリンピックシーズン初戦である事、再演プログラムである有利さなどから「俺はやるぜ!」と思っていた様な気もする。それがSPでのWR(ワールドレコード)更新と、FSでの空回りだったんじゃないかなぁと。


試合後のインタビューが出て来たので、ひとまず纏める。

「最初にルッツがパンク(回転が不足)して、いろいろ考えて、集中はどこかにいってしまった。」

いろいろな考えとは   

  1. 前半を3回転ジャンプにした時の力の入れ具合・リズムの調節が難しかった
  2. 冒頭3回転ルッツが抜けて、次の3回転ループを4回転にしようかと迷う
  3. 後半のリカバリーを考えながらの演技

大会10日前に右膝に違和感、1週間練習を休んでいた。大事を取って4回転ループは回避、3回転ループに変更。FS冒頭に3回転ルッツを移動、後半に4回転を固め跳びして基礎点低下を最小限に留める構成に変更してきた。

って事は、この変更した構成での通し練習は多く見積もって3日、もしかしたら大会公式練習の2回だけだった可能性もある。

答え合わせは、10月発売予定のフィギュアスケートマガジンの『全文掲載インタビュー』まで保留にしておこう。


中庭健介氏(元特別強化選手・現指導者)「前哨戦でフリー惨敗の羽生結弦は平昌五輪連覇に向けて不安はあるのか?」

“右膝の不安が影響して   

  • 右足のバックアウトエッジのすべりが悪かった
  • ジャンプの『タメ』の足りなさや『ひねり戻し』のタイミングがズレていた
  • 右膝に負担をかけないようにすべった為に左足の加速が減って、踏み込みも甘くなった”

    3週間弱でGPS(グランプリシリーズ)ロシア・ロステレコム杯。オリンピック選考基準に掛かる試合がそこから始まる。羽生選手の「悔しさ」は次への原動力だという事をファンは知っている。

羽生選手のメディア・デーのインタビューを拾い集める2

うっかりしていたら、もうオータムクラシックが目前に迫っている!


まずはFS(フリースケーティング)のSEIMEIについて。

“まず『SEIMEI』を2015-2016シーズンにやって、良い演技が出来たときからすでに「このプログラムをもう一回、オリンピック・シーズンに使いたいなと」というふうに決めていたので、もうほとんど迷いなくフリーの方は決めていました。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン トロント公開練習・完全収録 p.21

先シーズンのHope & Legacyについて。

“昨シーズンは逆に悩んだ…曲を何にしようか、もちろん和風でいきたいなっていうのはあったんだけれども、でも、あんまり和風し過ぎると、今度、昨シーズン(のSEIMEI)とかぶるしなぁって思ったりして。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン トロント公開練習・完全収録 p.23


確か『SEIMEI』のパーフェクト演技の時に「これがオリンピックでないのが勿体無い」という意見をどこかで見かけた。それまでの「和プロは評価が低い」という定説を覆したこのプログラムは画期的だった。

『SEIMEIサンドイッチ』になる昨シーズンのプログラムは、確かに悩みどころだったろう。オリンピックシーズン『SEIMEI』に備えて和の表現を深めたい&和カブリ感が無い様にと、日本人作曲家・久石譲のピアノ曲を選択したのは、なかなか良く考えられた選曲だった事が解った。


“シェイリーン・ボーン(SEIMEIの振付師)   確かあれはワールドの1カ月後だと思います。「SEIMEIを滑ったらどうか」と勧める手紙を書きました。オリンピックにぴったりだと思ったのです。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン 私たちはいつも、ユヅルのそばにいる シェイリーン・ボーン p.42


ヘルシンキワールド直後の囲みインタ・帰国インタでも、来シーズンのプログラムへの質問はあった。その時にはもう羽生選手の心の中では決まっていたという事になるが、明言は避けている。国別を控えて日本で調整、クリケットでの話し合いも済んでいない時期だったはずなので当然の対応だろう。


SP(ショートプログラム)のバラ1について。

“ 実は、SP は『Let’s Go Crazy』を持ち越ししようと思っていたんですよ、もともとは。4 月の国別対抗戦のときも滑りましたけど、そのまま今シーズンに使おうと。(中略)最終決定したのは4月の国別対抗戦の後かな。国別あとに考えたのはやはり、このプログラムであまりいい演技がしきれていないこと、イメージの悪さみたいなものがあるかなというのが気になって。(中略)だからこそちょっと悩みつつ、この曲が本当にオリンピックにふさわしいか、ふさわしくないかということも考えて、最終的に『バラード第1番』に行き着きました。 ”

家庭画報.com 羽生結弦選手のトロント公開練習2017 リポ! 「SP で使う曲は本当は・・・」


プログラム決めの時系列は

2015年12月12日(2015/2016 ISUグランプリファイナル・バルセロナ)以降:『SEIMEI』再演を心に秘める。

2017年4月23日(2017年世界フィギュアスケート国別対抗戦)以降:『Let’s Go Crazy』の持越しを断念し、『バラード第1番』再演を選択。同時期にシェイリーンから『SEIMEIおすすめメール』が届く。


前回オリンピックからの3年間で演じた中から、一番良いと思えるプログラムを選択した格好になった。カトパン・インタでの『羽生結弦のベストアルバム』と言う表現は、的を射ていたなぁ。

羽生選手のメディア・デーのインタビューを拾い集める1

8月8日のメディア・デー(公開練習)から1か月経ち、色々な媒体から羽生選手のインタビューの内容が明らかになってきた。

『フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン』号でメディア・デーの流れが判った。

“ブリーフィングの席上、何度も確認されたのが今季のフリーの情報解禁について。羽生自身が会見で直に記者たちに説明したいという希望を持っているので、それまでは記事・映像・SNSを含めて情報を一切、公開しないようにとの旨が伝えられる。(中略)羽生の会見終了までは情報を出さないという取り決めがなされた。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン トロント公開練習・完全収録 p.20

去年はある雑誌社のツイートで、深夜にプログラム名が知らされた。今年は再演という事で、『選んだ意味も合わせて伝えて欲しい』と言う強い意図があったという事かもしれない。

8月9日(メディア・デー2日目)の様子。

“その(氷上練習)後はテレビ局と雑誌社の個別取材という流れで、クリケットを訪れた報道陣は前日(日本から80人以上、現地・海外から数名)の3分の1程度。”

“テレビ局、さらに雑誌10社が個別インタビュー。1社あたりの時間はそう長くないものの、シーズン中は難しい「独占インタビュー」に対応してもらえるのだから、こちらとしては本当にありがたい。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン トロント公開練習・完全収録 p.26

テレビ局の当日ニュースではフジテレビが独占インタ部分を放送していた様に思う。グランプリシリーズの放送権を持っているテレビ朝日、NHK杯主催のNHKは未だ放送していない。フジテレビの放送部分も『カトパン・インタ』の数分で、まだ持っていそう。この3局は試合前に独占インタ部分を放送して来そうだ。

日テレ・TBSは蚊帳の外だけど、同じ『暖炉の横に座って答えている映像』をニュースで放送していた。1日目にもテレビ局の対応をしたようなので、試合放映権を持っていないテレビ局合同で取材したのかもしれない。日テレは野村萬斎さんとの対談に絡んでいたり、24時間テレビでの繋がりもあって今後も侮れない。TBSは羽生選手と仲の良い織田信成さんルートしか持っていないと思うので織田さん次第。

2日目が“1日目の3分の1程度”になったという事から、速報性が要求される新聞関係者が1日目で帰ったのだろうか。

羽生選手の写真が青のアンダーアーマー着用なら1日目。2日目は赤のアンダーアーマー。去年から羽生選手が親しいカメラマンの要望に応えて、練習着の色を故意に変えているらしい。後で写真をチェックする時に同じ練習着だと混乱するから、と頼んだとか。ファンにもいつの写真か判って助かる。


羽生選手は物持ちが良いらしく、服も靴もカバンも同じ写真が多い。髪型も同じだし顔もそんなに変化していなく、特に笑った『簡単な顔(^-^)』になっている写真はいつのものか判別が難しい。


共同会見部分は『フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン』が7ページにわたってほぼ全文掲載。取材した10社の雑誌社の内、これだけのページを割くのは文字テロのベースボールマガジン社だけだろう。残りの9社は、対抗手段として『美麗写真or独占インタの独自性or他のイベントの取材を付ける』しか無いように思う。

意外だったのは、今回の『2017-2018 プレシーズン』号は写真が結構良かった。写真が欠点だったので、ここを改善してきたら他の雑誌は「文字テロ」なんて揶揄している場合では無いかもしれない。

『アスリートの魂』と『フィギュアスケートTV』

3月11日の早朝と深夜にNHKのBS1で『アスリートの魂』、BSフジテレビで『フィギュアスケートTV』が放送された。

『アスリートの魂』は、初っ端から恋ダンスの遊んでる映像に真面目なナレーションを付けていて「NHKはふざけてるのか?」と思ってしまった。恋ダンスを楽しんで踊ってる様子は見ていて楽しかったが、全編ナレーションと映像とのズレを感じてしまった。ストーリーが先にあって、それっぽい映像を探して編集しました感。

全体的に知っている情報しか無かったので、今年の総集編(大一番の世界選手権はまだだけど)&「見たことない映像がいくつかは入っていたなぁ」と言う番組だった。

『フィギュアスケートTV』のノーカットインタビューは面白かったので、気になった部分を書き起こす。

   世界選手権に向けて「打つ手」は?

(中略)自分の演技=ノーミス。しかも「ただノーミス」じゃなくて、「完成された質のノーミス」が自分の演技。それをやったら誰も敵わないと自負してますし、その「自信」を「過信」にならないように、更に突き詰めて練習して行かないとな、と思いました。

   ジャンプ構成は(失敗した時用の物を)準備していくのか?

(中略)サルコー飛べればそんな事は絶対起きない。自分の4回転トウループの質よりも、3回転アクセルの質の方が良い。4回転トウループで冒険するよりも、3回転アクセルの質を更に上げて、後半2本(の3Aコンビネーション)を入れる方が一番だと思っている。

   どんな世界選手権にしたいか?

(中略)練習方法を今回、掴みかけた物もある。試合期間に色んな選手の練習方法を見る事が出来たり、跳び方だったり色々刺激を受けた。

この銀メダルは、非常に多くの事を得られた銀メダルだった。”

『アスリートの魂』で本田武史さんが「どんな時でも跳べる自信が無いとプログラムに入れることは出来ない」と言っていた。「出来ないかもと少しでも不安な感情があると成功しない」って事かもしれない。

失敗した時用のジャンプ構成を予め準備しておけば、素人考えだと「保険」が効いて良さそうだが、それを考えてる時点で気持ちで負けていてアウトなのかもしれない。

  • 3A+3Tの基礎点:8.5+4.3=12.8×1.1(後半)=14.08
  • 3A+1Lo+3Sの基礎点:8.5+0.5+4.4=13.4×1.1(後半)=14.74

このコンビネーションが例えGOEが0であっても、4回転ジャンプより基礎点は上回っている。(4回転ルッツ:13.6、4回転フリップ:12.3、4回転ループ:12.0)

過去のスコアを見てもGOEは1以上付く実績があるので、過信ではない自信に繋がっているのだろう。

4回転ループも4CC(4大陸選手権)で加点が付き、実績が出来たので自信になるだろう。

残すは「後半4回転サルコー自信を持つ練習」だけかもしれない。

4CCでは世界選手権で上位に来るであろう選手が揃った。上位選手、特に多種クワド(4回転)持ちの選手の練習・ジャンプを見れたことは、分析派の羽生選手には収穫だったのだろう。

ちなみにこのインタビュー収録日は、

公式練習→試合→表彰式→メダリスト公式会見→日本記者囲み会見(新聞雑誌用と映像用の2回)→中村アナのインタ→カトパンのインタ→フィギュアスケートTVインタ→エキシビジョン、とハードな一日だったようだ。

フジテレビだけで3回もインタビューがあって、

  • カトパンには、一般の知識無い人向けゆっくりニコニコ
  • 中村アナには、ちょっと知ってる人向けリカバリー技術解説
  • ディレクターには、知ってる人向けアスリートです早口オラオラ

だったのが面白かった。

ビックマウスなスポーツ選手を、羽生選手を応援する以前は苦手だった。

「なぜわざわざ退路を断つの?」

最近は羽生選手を知って

「未来の自分に向けて言っているんだなぁ。一般の人にどう思われても、結果を出すことに集中しているのだろう。」

と思って見るようになった。

スポーツLIFE HERO’Sでのカトパンインタ

2017年1月10日にフジテレビ「スポーツLIFE HERO’S」で羽生選手のインタビューが放送された。

インフルエンザで全日本フィギュアスケート選手権を欠場してから、ファンは心配していたので「動く羽生選手が見れるぞ」と喜び湧いていた。

「ネットの番組表に放送予告がある」と喜んで、「番組表から消えた」と驚き落胆し、「ネットニュースにも放送予告が出てきたから放送確定だろう」と一喜一憂。

インタビューの羽生選手部分を書き起こしてみた。

“気合は入っています、凄く(笑)。やっぱり、あのーまぁ、今年2017年ってもう本当にピョンチャンオリンピックの前年になるので、しっかりこれからまた一個一個頑張っていかなきゃいけないなぁという気持ちではあります。

まだ初詣も行ってないんですよね。お願いするのも大事だとは思うんですけども、たぶん実行するのは僕でしかないので。

四大陸選手権に出るのがまぁ僕自身、久しぶりなので。普通だったら全日本終わって世界選手権まで、えーまぁ3か月弱空くので、そういった意味ではあのー、試合勘ていうのが凄くまだある中で試合できるなぁという感じもありますし。まぁ実際、僕四大陸まだ優勝してないので。まぁそういった意味でもしっかりこのタイトル取っていきたいなぁと思っています。

やっぱりそこに向けては、自分のピーク合わせていきたいなぁという風に凄く思ってますし、同じ会場で滑る機会は非常に大事な機会なので、そのチャンスをしっかりものにできたらなぁと今思ってます。

ちょうど同じような時期にオリンピックがあるので、そういった意味でも、いいその調整の練習になるなぁ、という風に思っています。

オリンピックっていうのは、凄く段々段々近づいてきてるなぁ、という気持ちはしていますけれども。まぁ1年て割と短く感じるけれども、言ってみれば365日はあるし、時間にしてみたらもっといっぱいあるし。その時間ひとつひとつ大切にしていけばいいなぁと思ってます。

オリンピックの前の年なので、本当にひとつひとつ進化していかなきゃいけないなぁっていう気持ちと。その上で試合で結果を出せる練習であったり、努力の仕方であったり、そういったものも工夫しながらやっていけたらいいなぁと思います。

まず、今シーズンのフリーノーミスしたいなと凄く思ってますし。今シーズンになって4回転ループを入れたり、後半に4回転2本入れたりとか、まぁ後半の4回転もサルコーであったり、トーループであったり、アクセルも2本入っていたりとか。もう本当にまだまだ一杯一杯なところがあると思うので。それがまず一番最初に進化しなければいけないところかなぁ、とは思っています。”

「ゆるい」インタビューでした。

羽生選手のインタビューは、断然に試合後のほうが面白いし、試合前は基本ポジティブな事しか言わないので、この中途半端な時期は何を語ってもらったら良いのか?

“7日にカナダに出発した。現在は同地で振付師のシェイリーン・ボーン氏とともにプログラムのブラッシュアップに取り組んでいる。”  2017.1.14 デイリースポーツオンライン

ブラッシュアップ!

四大陸に最近出てないとか、テロップで処理できそうな事を喋ってもらうよりは、こういう今後の練習プランとか、後半のコンビネーションジャンプのタイミングどうするのか、とかをカトパンに聞いて欲しかった。。。

『四大陸に羽生選手出るんだよ!観てね!』な内容でしたので、フジテレビ的にはこれでOKなのかな。

インフルエンザ+咽頭炎で「せっかく食事増やして筋肉増やしてたのに、瘦せてしまってないか?」と心配していたファンには、それでもうれしいインタビューではありましたが。

テレビ朝日のビックスポーツ賞のビデオコメントも、この時と同じ服でしたので、トロント出発前にサクサクっとお仕事して渡加したのかな。