FPの前、プルシェンコが現役引退を表明した。フィギュアスケートファン界隈では「エイプリルフール・ネタだろ」と言われるほど、唐突なニュースだった。
SP後にどこかの取材で世界選手権の感想を求められ、「羽生選手のSPの結果にはがっかりした」と言う内容のコメントもしていたらしい。
プルシェンコは羽生選手が『神』と公言している憧れの存在。プルシェンコも羽生選手と会うたびに「早く俺を超えてみろ」と言うらしい。羽生選手は『プルシェンコ・ファンのヒエラルキーの頂点である』とか、『スケートの上手なガチのプルオタ』と心酔っぷりを面白くイジラレているのをSNSなどで見かける。
この引退ニュースが「起爆剤」として、羽生選手に良い影響があったらいいなぁ、と思った。
FPは家族に配慮して、私はマスクと手袋を装備してTV観戦をした。
(興奮すると大声を出し、手をパンパン叩くクセがある。深夜観戦だったバルセロナGPFでは、驚いて起きてきた家族に怒られた。)
羽生選手の演技は、全てが美しかった。パーフェクトでクリーンな演技。
「もう一度じっくり見返したい。」
そう思っても試合は流れていく。順位はまだ分からない。見返したいのを我慢し、最終滑走者のハビエル選手まで観戦した。
羽生選手がトップに決定した後、早速録画を巻き戻して落ち着いて見返した。
フリープログラム『Hope&Legacy』は、PCS(演技構成点)面でジャッジに評価されにくいとSNSで噂されていた。
理由は「曲調が単調」という事らしい。
私は、それは羽生選手サイドでは織り込み済みでの新しい挑戦であろうから、見越して振りつけられているだろう、と思っていた。
試合後の囲み取材で、羽生選手は
“(前回大会の)四大陸選手権後に曲の変更も考えた。『SEIMEI』より評価されにくいと感じていた。”
とコメントしたようだ。結局、自分の感性を信じて続行してくれたようで、もしも変更していたらと考えると、恐ろしい!
PCS(演技構成点)は経験で上がると言われたりする。長く試合に出ている選手、ベテランほど高くなる、と。しかし、ジャッジは『絶対評価』が原則なので、ベテランであっても行われた演技が良くなければ低い。
『SEIMEI』はGPS(グランプリシリーズ)1戦目のカナダ大会では良くなく、2戦目のNHK杯でパーフェクト演技が出来た。次戦のGPF(グランプリファイナル)でもパーフェクト。国際試合で2試合続けて最高得点を更新した。
その後の全日本選手権、ボストン世界選手権では良い演技が出来なかった。国内戦の全日本選手権は国際ジャッジの管轄外だから抜かしてみると、国際的な印象で言えば『△→◎→◎→△』ではないかなと思う。
パーフェクトが早い段階で2戦連続出来ているので、PCSもジャッジは高く付けやすい気もする。『絶対評価』と矛盾するが。。。
PCSが出やすい曲は、
- メリハリがある
- ストーリー性がある
- 誰もが知っている曲
- キャラクターがハッキリしている。。。etc
『Hope&Legacy』は、どれも当てはまらない。観客が手拍子するパートが無い事でも明白。
気持ちのいい流れるような音楽に、高難度ジャンプを溶け込ませてメリハリを付け、スピンやステップでストーリーを伝える。
ベテランだから出来るプログラム、プレオリンピックだからできる挑戦。
見返してみると、ジャンプの着氷エッジはピタリと氷に吸いついて、不安定さは皆無。足さばきも音ハメピタリで気持ちいい。
前半4Sの浮き上がり方、後半4S3Tの前の何かを捕まえて放つようなマイム、3A2Tのふんわり感(大抵ここら辺で涙が出てくる)、最後の3Lzまでのドキドキ。。。
「ノーミスしたら泣く」とSNSで見かけたとき、私は泣くかなぁと懐疑的に思っていたが、はい泣きました。
プルシェンコが試合後インスタで
“Once again you proved , that you are great champion, coming back from 5th place to take the gold, congratulations Yuzuru!!!(君は5位から返り咲いて金メダルを獲り、素晴らしいチャンピオンであることを改めて証明してくれた。おめでとう、結弦!!!)”
と書いた。完璧すぎる。