世界フィギュアスケート国別対抗戦でシーズンが終わる SP

世界選手権の後、国別対抗戦に羽生選手が出場することになった。

この試合は、「ここが頂上だと思って山を登ってきたら、この先にまだありました。」という感じかもしれない。

頂上の世界選手権にピークを合わせてきた選手たちは、もう一度最後の気力を振り絞って戦うことになる。

国際スケート連盟(ISU)の規定で、ランキング上位選手は出場を求められている。

賞金が出る、世界選手権で悔しかった思いを晴らせる、枠取りのプレッシャーが無いのでパーソナルベストが出やすい、トップ選手の演技がサクサク観れることもあって日本のフィギュアスケートファンが集結して熱い声援がどの国の選手にも送られる、などのメリットもある。

得点もポイントに換算されて、国ごとのチームの合計ポイントで争う。

パーソナルベストが出れば公式記録として残るので、「気楽にやって良い結果が出れば儲けもの」の気持ちで海外選手は来ている雰囲気がある。

が、日本選手はそうもいかないのかもしれない。主催国だし、ゴールデンタイムの放送だし。。。


羽生選手は「ノーミスしたい」と大会前に話していた。

特にSP(ショートプログラム)の『Let’s Go Craizy』は、ノーミス出来ていなかった。

世界選手権の後でも「感覚は良いのにミスをした」と語っていたので、好調を維持できていれば可能かもしれなかった。

国別のSPの日は、プリンスの命日の前日だった。SNSではこの事がちょっと話題になっていた。


羽生選手は2つのジャンプでミスをしてSPは83.51点で7位になった。

演技後「プリンスの命日の話を知っていた」とコメントしていて、曲やプログラムへの愛着が裏目に出たようだった。

2017年世界フィギュアスケート選手権(World Figure Skating Championships 2017)緊迫の一週間を振り返る【FP】

FPの前、プルシェンコが現役引退を表明した。フィギュアスケートファン界隈では「エイプリルフール・ネタだろ」と言われるほど、唐突なニュースだった。

SP後にどこかの取材で世界選手権の感想を求められ、「羽生選手のSPの結果にはがっかりした」と言う内容のコメントもしていたらしい。

プルシェンコは羽生選手が『神』と公言している憧れの存在。プルシェンコも羽生選手と会うたびに「早く俺を超えてみろ」と言うらしい。羽生選手は『プルシェンコ・ファンのヒエラルキーの頂点である』とか、『スケートの上手なガチのプルオタ』と心酔っぷりを面白くイジラレているのをSNSなどで見かける。

この引退ニュースが「起爆剤」として、羽生選手に良い影響があったらいいなぁ、と思った。


FPは家族に配慮して、私はマスクと手袋を装備してTV観戦をした。

(興奮すると大声を出し、手をパンパン叩くクセがある。深夜観戦だったバルセロナGPFでは、驚いて起きてきた家族に怒られた。)

羽生選手の演技は、全てが美しかった。パーフェクトでクリーンな演技。

「もう一度じっくり見返したい。」

そう思っても試合は流れていく。順位はまだ分からない。見返したいのを我慢し、最終滑走者のハビエル選手まで観戦した。

羽生選手がトップに決定した後、早速録画を巻き戻して落ち着いて見返した。


フリープログラム『Hope&Legacy』は、PCS(演技構成点)面でジャッジに評価されにくいとSNSで噂されていた。

理由は「曲調が単調」という事らしい。

私は、それは羽生選手サイドでは織り込み済みでの新しい挑戦であろうから、見越して振りつけられているだろう、と思っていた。

試合後の囲み取材で、羽生選手は

“(前回大会の)四大陸選手権後に曲の変更も考えた。『SEIMEI』より評価されにくいと感じていた。”

とコメントしたようだ。結局、自分の感性を信じて続行してくれたようで、もしも変更していたらと考えると、恐ろしい!

PCS(演技構成点)は経験で上がると言われたりする。長く試合に出ている選手、ベテランほど高くなる、と。しかし、ジャッジは『絶対評価』が原則なので、ベテランであっても行われた演技が良くなければ低い。

『SEIMEI』はGPS(グランプリシリーズ)1戦目のカナダ大会では良くなく、2戦目のNHK杯でパーフェクト演技が出来た。次戦のGPF(グランプリファイナル)でもパーフェクト。国際試合で2試合続けて最高得点を更新した。

その後の全日本選手権、ボストン世界選手権では良い演技が出来なかった。国内戦の全日本選手権は国際ジャッジの管轄外だから抜かしてみると、国際的な印象で言えば『△→◎→◎→△』ではないかなと思う。

パーフェクトが早い段階で2戦連続出来ているので、PCSもジャッジは高く付けやすい気もする。『絶対評価』と矛盾するが。。。

PCSが出やすい曲は、

  • メリハリがある
  • ストーリー性がある
  • 誰もが知っている曲
  • キャラクターがハッキリしている。。。etc

『Hope&Legacy』は、どれも当てはまらない。観客が手拍子するパートが無い事でも明白。

気持ちのいい流れるような音楽に、高難度ジャンプを溶け込ませてメリハリを付け、スピンやステップでストーリーを伝える。

ベテランだから出来るプログラム、プレオリンピックだからできる挑戦。


見返してみると、ジャンプの着氷エッジはピタリと氷に吸いついて、不安定さは皆無。足さばきも音ハメピタリで気持ちいい。

前半4Sの浮き上がり方、後半4S3Tの前の何かを捕まえて放つようなマイム、3A2Tのふんわり感(大抵ここら辺で涙が出てくる)、最後の3Lzまでのドキドキ。。。

「ノーミスしたら泣く」とSNSで見かけたとき、私は泣くかなぁと懐疑的に思っていたが、はい泣きました。


プルシェンコが試合後インスタで

“Once again you proved , that you are great champion, coming back from 5th place to take the gold, congratulations Yuzuru!!!(君は5位から返り咲いて金メダルを獲り、素晴らしいチャンピオンであることを改めて証明してくれた。おめでとう、結弦!!!)”

と書いた。完璧すぎる。

2017年世界フィギュアスケート選手権(World Figure Skating Championships 2017)緊迫の一週間を振り返る【SP後~FP前】


今大会のスケジュール(日本時間)SP後~FP前

3/30  SP終了後~ SPスモールメダル授与式、FP滑走順抽選会、会見

3/31 17:05~ サブリンクFP公式練習1

〃  21:30~ サブリンクFP公式練習2

4/01 13:00~ サブリンクFP公式練習3

〃    16:50~ FP


やっぱり、SPは悪い演技ではなかった。調子を落としているとか、タイミングがハマっていないとか、そういう「何か足りていない」という失敗ではなかった。

そんな思いで、ISU配信のSPプレスカンファレンスを眺めていた。

羽生選手の様子はどうだろうと見ると、前の席に座って笑ったりもしている。怒っているとか落胆しているとかもなく、普通。

そしてFPの滑走順は、また最終グループの1番滑走。

SPではレイトスタート、30秒ルールを超えてしまって減点1点を取られた。今度は気を付けるだろう。

FPの公式練習は全てサブリンクで行われるため、ここからはネットニュースだけが頼りになる。と思っていたら、ラストの公式練習はライブストリーミングがあると分かった。

四大陸選手権の時と違って、アレコレと点数差計算する事は放棄した。感じているポジティブな気持ちに水を差すのが嫌だった。

公式練習のライブストリーミングでは、羽生選手は軽めにランスルーをし終了時間より早く帰っていった。

「良いんじゃないか。むしろサブリンクで本番さながらにランスルーされたら、そっちの方が心配になる。」   そう好意的に思った。

そして比較的短いインターバルを経て、FPが始まった。

2017年世界フィギュアスケート選手権(World Figure Skating Championships 2017)緊迫の一週間を振り返る【SP】

5位になった。が、私は良い演技内容だったと思った。

4Sでバランスを崩して、両手タノ2Tをド根性で跳んだ後にプリンスの歌声

♪Go crazy~

が被ってきて、「クレイジーだよ!!羽生!」と気分が上がった。

観客はロックコンサートのように沸いていて笑顔だった。

トップとは約10点差になって、羽生選手のインタビューは観ていて辛かった。

“楽しむ事は出来たと思うんですけど(中略)絶対ノーミスしたいなと思っているので、最後まで集中したいと思っています。”

2017年世界フィギュアスケート選手権(World Figure Skating Championships 2017)緊迫の一週間を振り返る【SP前】

大会が終わって約1週間、やっと興奮が引いてきたので振り返ってみようと思う。


今大会のスケジュール(日本時間)SPまで

3/27  17:15~ メインリンク公式練習1

〃  23:40~ サブリンク公式練習2

3/28 15:55~ メインリンク公式練習3

〃  22:20~ サブリンク公式練習4

3/29 19:40~ サブリンク公式練習5

〃  21:30~ SP滑走順抽選会

3/30 18:10~ SP


ファンとしては、まず現地入りのニュースをドキドキして待つ事になる。

記者への受け答えの様子で、調子がどうなのかを見定めたい。羽生選手は「バッチリ準備してきました。」みたいな事しか言わない(スポーツ選手は悪くても言わないものだと思う)ので、発言は重要ではない。

顔色や声音や表情に注目して、「体調は良さそうだな」とファンはSNSなどで意見を交わしていた。

現地ファンが観れるのはメインリンクの公式練習だけになる。

日本TV観戦組は、その現地ファンからのSNSは重要な情報源になる。

今回は前年のボストン世界選手権とは違って、コーチのブライアン・オーサーだけではなくトレイシー・ウィルソンもリンクサイドにいた。

クリケットクラブからは他のカテゴリーからも選手は出場しているので、コーチは複数名行っていたようだ。ブライアンはそれぞれの選手に付き添いたいだろうが、ちょっとスケジュール的に難しい事も出てくるだろう。だからファンは「トレイシーが居ると安心する」とSNSで語り合っていた。

ボストン世界選手権では、ハビエル・フェルナンデス選手と羽生選手が共に足にトラブルを起こしていた。2人で同じ大会に出場することはそれまでもあったが、両選手ともトラブルが出たとなると、さすがのブライアンも対応は大変だったろうと思ったものだった。

だからトレイシーが居たことで「クリケットは万全な体制を組んできた」と安心したのだった。

ネットニュース・動画・SNSから、羽生選手が本番に向けて緩やかにピークを上げて来ているのが何となくわかった。笑顔で練習している様子から、リラックスしていて自信があるような雰囲気も伝わってきた。

ひとつ心配だったのは、腰の状態だった。直近の試合の四大陸選手権ではビールマンスピンは抜いていたし、SPの仰け反りポーズは控えめだった。公式練習ではそれもしていたようで、「体調は万全。」と思って私自身もリラックスするよう心掛けていた。なんの関係もないのに。。。

そして滑走順は最終グループの1番滑走に決まった。