巧くなる為に

ワクワクして楽しみに待っていたNHK杯。一回気分が上がっていただけに、羽生選手のケガ報道にはだいぶ凹んでしまった。

大会開催日(11月10日)の3日前、7日夜に大阪入りとのニュースがあって一安心

8日の非公式練習をスキップとのニュースに「うーん、時差調整かなぁ」と、自分の中に生まれる不安をごまかして

9日午前の公式練習もスキップしたニュースには「午後もあるし、羽生選手は朝弱いしねー」と考え

そして向かえた午後の練習でのケガ映像の衝撃。。。


『捻挫の為に欠場』や『ケガの為に3週間練習を休んでいた』などのニュースを読んでも、どういった経緯でケガをしたかと想像した事はなかった。

フィギュアスケート選手のケガの大半は大技の練習中、特にシングル選手なら多回転ジャンプの練習中に起きる事が多いだろう。その瞬間の映像は衝撃的で、痛々しくて直視できなかった。

いつもの羽生選手ならば、途中で回転をほどいて降りれていたかもなぁ。。。

前日の非公式練習のスキップは発熱の為だったとのニュースもあった。体調不良での判断ミス(ジャンプを強行 or ジャンプを途中でほどけなかった)だったのではという記事も読んだが、それは本人談では無い。


大会翌日、羽生選手はNHKの単独インタビューに答えた。

『超』要約すると“しっかり治して全日本に出るよ!”だった。

私もそのつもりで応援しよう。


巧くなる為の練習は、少し負荷がかかるレベルでないと習得は難しい。「ちょっとシンドイ。」を克服して挑んで、成功したり失敗したり。失敗しても『どうして失敗したか』を解析して次の成功の材料にする。それを繰り返して、下手な部分をドンドン潰していって成功につなげる。

文章にするとロジカルなんだけど、生身の体は日々違うし、失敗すると痛いし心理的に凹むしイライラもするし。。。まず頭と体が思うように連動しないし、繰り返さないと体は忘れるし。

トップレベルの選手でも『上達の過程』は同じなんだなぁと、しみじみ。


プルシェンコ氏が来日して、色々羽生選手について語った。

羽生選手のP&GのCM発表イベントだったが、羽生選手が健康体だったら直接会えていただろうなぁと少し残念に思った。

イベントのフル映像を観たが、ファンの私も元気になった。

特に「いたずらに羽生選手を褒めているわけではない。本当に彼は唯一無二の存在だから。」と言う言葉に、ジワーンときた。

はたして、羽生選手が同席していたらここまでのエールの言葉を聞けたかなぁ?とも思った。ケガをしてしまったから出てきたエールの言葉だったかもしれないし、面と向かっていないから踏み込んで語ってくれたのかもしれない。

良かったねぇ、こんなに言われたら勇気百倍で頑張れるねぇ、有難いねぇ、とほのぼの。

こうして私の『羽生ジェットコースター』は、いったん着地した。

ロステレコム杯で4回転ルッツ(4Lz)成功!

10月20日・21日に行われたISUグランプリシリーズ第1戦のロシア大会『ロステレコム杯』にて、羽生選手は2位の銀メダルだった。第2戦『スケートカナダ』も今日(10月29日)男女シングルは終了した。今の段階では、まだポイントランキングの事は何も語れない。

最も重要なのは、4回転ルッツ(4Lz)が試合でGOE 1.14の加点付きで決まったこと。


『かめ太郎真夏の氷上カーニバル』の後に“恩師の都築章一郎氏に「4回転ルッツをプログラムのどこに入れようか検討している」と羽生選手が語った”という記事が新聞に出ていた。本人が直接記者に語ったものでなかったし、映像も無いので「マジで?」と思っていた。

羽生選手は先シーズンの世界選手権終わりから、事あるごとに記者に「新ジャンプは?」と聞かれまくり、その都度「今は考えていない。」とスルーしてきた。

“今まで練習をやってきて、『ルッツを入れられるな』と思ったのが、今回(4回転ルッツを)入れることにした理由のひとつですね。五輪へ向けてこれからどんどん試合を重ねていくわけですけど、実際には試合数も限られていますから。本番へ向けて、試みた回数というのも一つひとつ大事になっていくと思うので、その意味でも、できるだけやりたいと考えました。(中略)

オータムクラシックのように集中力が途切れることを避けるためにも、今自分が一番実力を発揮させる構成で、自分が一番本気を出せるプログラムでやりたいと思っています。”

Web sportiva :羽生結弦が語ったグランプリシリーズ初戦で「4回転ルッツを跳ぶ理由」

その他、大量の記事やインタビューから抽出できたことは

  1. 4回転ルッツは夏から構成に入れて練習。
  2. ジャンプ自体は4年前からコツコツと練習して、理想の「降りるだけじゃなく、美しく表現の一部になるジャンプ」になった。
  3. メディアデーとオータムクラシックは右膝の影響で封印(メディアデー終わりのフォトセッションでふざけた写真(野球のバッティングポーズや相撲の四股踏み)が多かったのは、そのフラストレーションだったのか?)。
  4. オリンピックシーズンだが「守り」より「攻め」を選んだ(その方が自分らしく戦える)。
  5. 武器は多ければ多いほど、精神的にも戦略的にも優位に立てる。初戦から投入してジャンプの安定を図りつつ、オリンピック直前まで最良の構成を探る(その為にも再演プロは優位)。

詳細は『フィギュアスケートマガジン』を待てば判るだろう。モスクワでの臨場感(記者たちのバタバタ)溢れる記事 “ベースボール・マガジン社Web:モントリオールの経験を生かして   。羽生結弦、モスクワで4回転ルッツに挑む。”も面白かった。

更に嬉しいニュースとして、平昌オリンピック後も現役続行する事を語った!

“朝日新聞デジタル:羽生「4回転半やりたい」 平昌五輪後の現役続行に意欲”

今季4Lzが成功したので、残るクワド(4回転ジャンプ)はループとアクセル。「全ての4回転ジャンプを跳ぶ」ことも羽生選手が恩師の都築氏と約束していると以前に雑誌で読んだことがある。それならば、後2~3年は羽生選手を試合で応援できるだろうか。少なくとも、もの悲しい気分で平昌オリンピックを観戦しなくても良くなった!羽生選手に感謝!

ロシアの前にオータムのおさらい

今週末はいよいよISUグランプリシリーズ第1戦のロシア大会『ロステレコム杯』に羽生選手が出場する。


ちなみに『ロステレコム』はスポンサー名らしい。調べると「ロシア最大の固定電話において最大手の通信会社」と出てきた。日本のNTTみたいな感じかな?

  1. ロシア(モスクワ)『ロステレコム杯』
  2. カナダ(レジャイナ)『スケート カナダ』
  3. 中国(北京)『アウディー杯』
  4. 日本(大阪)『NHK杯』
  5. フランス(グルノーブル)『フランス国際』
  6. アメリカ(レイクプラシッド)『スケート アメリカ』

と6戦してポイント上位6選手がGPF(グランプリファイナル)名古屋に出場できる。羽生選手はロシア大会と日本大会に出場する。


『オータムクラシック』のおさらいと今季のルール変更を、ロシア大会前にまとめる。

1.SP冒頭のポーズの変化

以前のバラ1冒頭はスタートポジションから滑り出しまで、ずっと瞼を閉じていた。振付師のジェフリー・バトルは「金メダルを取った後の周囲の喧騒から離れて、氷の上にいる彼だけの特別な瞬間が始まるように」振り付けたと語っていた。今季は正面をじっと見つめて、首廻しの部分で瞼を閉じる。確かアイスショーでも、冒頭は目を見開いていた。何かしら意味があるような?ロシア大会ではどうスタートするのか?


2.4T+3Tのセカンドジャンプのタノ付け

右膝の違和感の為ジャンプ構成を下げたが、SPラストの連続ジャンプにタノを付けた。空中での姿勢変形 は加点要素に含まれている(国際スケート連盟コミュニケーション第 2089 号 )。タノを付けると軸がブレ易く高さも出にくくなるらしい。下げた構成を少しでも上げるためにタノったのか?今季はこれが通常仕様なのか?

実はメディア・デーのカメラがタノった映像を押さえていた。その時はファンの間ではざわついていたが、メディアはスルーだった。今回はニュースでも「タノは加点要素。でも難しい。」と解説されていた。

ジャッジの評価は7人(B級試合なので)中2人は『+2』、5人は『+3』で、惜しくも満点評価にはならなかった。『タノった影響でジャンプの高さが足りない』or『セカンドジャンプにタノは技術が高い』と評価が分かれたのかもしれない。9人のジャッジになった時、どう評価されるのか?(GOEは最高最低カットしての平均なので、8人が『+3』を付けないと満点は出ない。)羽生選手は文句の出ないレベルまでジャンプの精度を高めて来れるのか?(右膝、ガンバー!)


3.チェンジフット・シットスピン(CSSp4)の満点GOE

シットスピンは羽生選手自身『得意』と公言している。柔軟性を生かした形状と、手の表現を付けても回転がブレない。オータムでは満点GOE(1人『+2』だがカットされる)。先シーズンの『Let’s Go Crazy』はアップテンポで次々にエレメンツをこなさなければならない、忙しいプログラムだった。スピン前のジャンプを失敗すると、スピンの回転カウントが足りないうちに切り上げて次の要素に移らないと曲に置いて行かれるせわしなさだった。今季のバラ1は、そんな『Let’s Go Crazy負荷』のお陰で、心身共に余裕があるのかもしれない。


4.連続ジャンプのルール変更

FS中に3連続ジャンプは1回、2連続ジャンプは2回まで入れられる。4回転ジャンプ並みの得点源だ。大抵『3A-1Lo-3S』のように、セカンドジャンプは1Lo。今季からは失敗して『3A-1Lo』で終わった場合でも、連続ジャンプとしてカウントしないらしい。つまりセカンドジャンプを1Loで終わらせておけば、限りある連続ジャンプの回数が消費されず、連続ジャンプでのリカバリーが可能になる。

今までのように連続ジャンプとしてカウントされていると、残りのソロジャンプを高得点のジャンプ(4回転とか)にしないと挽回できなかったが、計算次第ではコンビネーション(連続ジャンプ)が巧く出来れば戦える。。。のかな?

少なくとも「あーコンボ、使い切った~。」とプログラム途中でガッカリしなくても済む。ジャンプ制限を計算しながら演技するのは大変そうだし、1Loで終わらせたジャンプばっかりだと演技構成点が下がるだろうが。。。


5.ステップシークエンス(StSq)の救済

難しいターン・ステップ(ツィズル、ブラケット、ループ、カウンター、ロッカー、チョクトウ)を3連続で行うとレベル上げになる(異なるものを各足で一つずつ以上)。通称クラスター。もしくはディフィカルト3連。

「各足とも試みられた最初の組み合わせのみが数えられる。」と『テクニカル パネルハンドブック2017/2018 版』に明記されていたので、てっきり最初のステップ・ターンが認定されなければ、クラスター不成功になってしまうと思っていた。しかし、「最大ターン数の制限はない」とも明記されていて、例えば連続してステップ・ターンを3以上やっておいて、そのどこかで3連続認定されていればクラスター成功になるらしい。 ×〇〇〇でも良いし、〇×〇〇〇でも良い。(〇=成功、×=失敗)

ただ両足行わないとレベル上げにカウントされないし、保険をかけてステップに時間をさきすぎると他のエレメンツの時間を圧迫してしまう。得意足は○○○と一発でキメて、不得意足は保険をかけて4・5連続しておくとか?体力とプログラムとのバランスが大事かもしれない。例え長くステップ・ターンを踏んでいても、〇×〇×〇だったとしたら得点が出た時「あんなにステップ長かったのに、レベル低いなぁ。」なんてことになってしまう。テクニカルジャッジみたいにステップ・ターンの見分けは付かないし、出来もわからないので「なんで?」と思いながら採点表を眺めることになるかもしれない。


SP(ショートプログラム)の新衣装とEX(エキシビジョン)の発表がロステレコムでは楽しみ。

バラ1衣装はSEIMEIのようにマイナーチェンジなのか?EXはソチシーズンのように過去プロになるのか?もしかしたらジャズかな?(過去にジャズもやってみたいとか語っていた。)

オータム クラシック(2017 Autumn Classic International)で「悔しさ」の収穫

2017年4月20日 – 4月23日の3日間、カナダのモントリオールでオータム クラシック(2017 Autumn Classic International)が行われた。羽生選手は3年連続出場していて、GPS(グランプリシリーズ)前の調整試合としているようだ。


今大会は2017/2018 ISUチャレンジャーシリーズ(ランキングポイント加算、ベストスコアはISUに認定)10戦中の第3戦目に該当する。


前提として『羽生選手はスロースターター』と言う認識がファンの間では浸透している。なので試合結果よりは「新衣装はどんなのかな?」「メディア・デーのニュースでは細切れだったプログラムの通し演技がやっと観れる!」「元気かな?」と言う思いでこの試合を待っていた。

ただ事前情報でマスコミが50社も(2年前は15社、昨年35社)集結している事と、先々シーズン世界王者のハビエル・フェルナンデスなどの有力選手が多数出場する事にもなって、昨年までのアットホームでのんびりした雰囲気の大会では無くなりそうな予感もしていた。

日本では観戦ツアーも企画されて、自力(観戦+エアー+ホテル)チケット確保組も加わった大量のファンが現地へ出発した。


日本開催の羽生選手が出場する大会であるNHK杯、GPF名古屋(GPSの結果による)、全日本選手権のチケットは『抽選』なので、取れるかどうか判らないと言う状況。クジ運が必要になってくる。海外戦(オリンピック以外)のチケットは、日本ほどフィギュア人気が盛んで無いので確実に確保は出来るようだ。


  • SP(ショートプログラム) 112.72点(自己ベスト+1.77点)WR更新
  • FS(フリースケーティング)155.52点(自己ベスト-67点)

と、まぁ高低差が激しい結果になった。ファンとしては想定内で「いつもの羽生ジェットコースターだね」という感想だった。

ただ羽生選手本人は、マスコミの注目度や日本からファンが沢山来た事、オリンピックシーズン初戦である事、再演プログラムである有利さなどから「俺はやるぜ!」と思っていた様な気もする。それがSPでのWR(ワールドレコード)更新と、FSでの空回りだったんじゃないかなぁと。


試合後のインタビューが出て来たので、ひとまず纏める。

「最初にルッツがパンク(回転が不足)して、いろいろ考えて、集中はどこかにいってしまった。」

いろいろな考えとは   

  1. 前半を3回転ジャンプにした時の力の入れ具合・リズムの調節が難しかった
  2. 冒頭3回転ルッツが抜けて、次の3回転ループを4回転にしようかと迷う
  3. 後半のリカバリーを考えながらの演技

大会10日前に右膝に違和感、1週間練習を休んでいた。大事を取って4回転ループは回避、3回転ループに変更。FS冒頭に3回転ルッツを移動、後半に4回転を固め跳びして基礎点低下を最小限に留める構成に変更してきた。

って事は、この変更した構成での通し練習は多く見積もって3日、もしかしたら大会公式練習の2回だけだった可能性もある。

答え合わせは、10月発売予定のフィギュアスケートマガジンの『全文掲載インタビュー』まで保留にしておこう。


中庭健介氏(元特別強化選手・現指導者)「前哨戦でフリー惨敗の羽生結弦は平昌五輪連覇に向けて不安はあるのか?」

“右膝の不安が影響して   

  • 右足のバックアウトエッジのすべりが悪かった
  • ジャンプの『タメ』の足りなさや『ひねり戻し』のタイミングがズレていた
  • 右膝に負担をかけないようにすべった為に左足の加速が減って、踏み込みも甘くなった”

    3週間弱でGPS(グランプリシリーズ)ロシア・ロステレコム杯。オリンピック選考基準に掛かる試合がそこから始まる。羽生選手の「悔しさ」は次への原動力だという事をファンは知っている。

羽生選手のメディア・デーのインタビューを拾い集める2

うっかりしていたら、もうオータムクラシックが目前に迫っている!


まずはFS(フリースケーティング)のSEIMEIについて。

“まず『SEIMEI』を2015-2016シーズンにやって、良い演技が出来たときからすでに「このプログラムをもう一回、オリンピック・シーズンに使いたいなと」というふうに決めていたので、もうほとんど迷いなくフリーの方は決めていました。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン トロント公開練習・完全収録 p.21

先シーズンのHope & Legacyについて。

“昨シーズンは逆に悩んだ…曲を何にしようか、もちろん和風でいきたいなっていうのはあったんだけれども、でも、あんまり和風し過ぎると、今度、昨シーズン(のSEIMEI)とかぶるしなぁって思ったりして。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン トロント公開練習・完全収録 p.23


確か『SEIMEI』のパーフェクト演技の時に「これがオリンピックでないのが勿体無い」という意見をどこかで見かけた。それまでの「和プロは評価が低い」という定説を覆したこのプログラムは画期的だった。

『SEIMEIサンドイッチ』になる昨シーズンのプログラムは、確かに悩みどころだったろう。オリンピックシーズン『SEIMEI』に備えて和の表現を深めたい&和カブリ感が無い様にと、日本人作曲家・久石譲のピアノ曲を選択したのは、なかなか良く考えられた選曲だった事が解った。


“シェイリーン・ボーン(SEIMEIの振付師)   確かあれはワールドの1カ月後だと思います。「SEIMEIを滑ったらどうか」と勧める手紙を書きました。オリンピックにぴったりだと思ったのです。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン 私たちはいつも、ユヅルのそばにいる シェイリーン・ボーン p.42


ヘルシンキワールド直後の囲みインタ・帰国インタでも、来シーズンのプログラムへの質問はあった。その時にはもう羽生選手の心の中では決まっていたという事になるが、明言は避けている。国別を控えて日本で調整、クリケットでの話し合いも済んでいない時期だったはずなので当然の対応だろう。


SP(ショートプログラム)のバラ1について。

“ 実は、SP は『Let’s Go Crazy』を持ち越ししようと思っていたんですよ、もともとは。4 月の国別対抗戦のときも滑りましたけど、そのまま今シーズンに使おうと。(中略)最終決定したのは4月の国別対抗戦の後かな。国別あとに考えたのはやはり、このプログラムであまりいい演技がしきれていないこと、イメージの悪さみたいなものがあるかなというのが気になって。(中略)だからこそちょっと悩みつつ、この曲が本当にオリンピックにふさわしいか、ふさわしくないかということも考えて、最終的に『バラード第1番』に行き着きました。 ”

家庭画報.com 羽生結弦選手のトロント公開練習2017 リポ! 「SP で使う曲は本当は・・・」


プログラム決めの時系列は

2015年12月12日(2015/2016 ISUグランプリファイナル・バルセロナ)以降:『SEIMEI』再演を心に秘める。

2017年4月23日(2017年世界フィギュアスケート国別対抗戦)以降:『Let’s Go Crazy』の持越しを断念し、『バラード第1番』再演を選択。同時期にシェイリーンから『SEIMEIおすすめメール』が届く。


前回オリンピックからの3年間で演じた中から、一番良いと思えるプログラムを選択した格好になった。カトパン・インタでの『羽生結弦のベストアルバム』と言う表現は、的を射ていたなぁ。

羽生選手のメディア・デーのインタビューを拾い集める1

8月8日のメディア・デー(公開練習)から1か月経ち、色々な媒体から羽生選手のインタビューの内容が明らかになってきた。

『フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン』号でメディア・デーの流れが判った。

“ブリーフィングの席上、何度も確認されたのが今季のフリーの情報解禁について。羽生自身が会見で直に記者たちに説明したいという希望を持っているので、それまでは記事・映像・SNSを含めて情報を一切、公開しないようにとの旨が伝えられる。(中略)羽生の会見終了までは情報を出さないという取り決めがなされた。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン トロント公開練習・完全収録 p.20

去年はある雑誌社のツイートで、深夜にプログラム名が知らされた。今年は再演という事で、『選んだ意味も合わせて伝えて欲しい』と言う強い意図があったという事かもしれない。

8月9日(メディア・デー2日目)の様子。

“その(氷上練習)後はテレビ局と雑誌社の個別取材という流れで、クリケットを訪れた報道陣は前日(日本から80人以上、現地・海外から数名)の3分の1程度。”

“テレビ局、さらに雑誌10社が個別インタビュー。1社あたりの時間はそう長くないものの、シーズン中は難しい「独占インタビュー」に対応してもらえるのだから、こちらとしては本当にありがたい。”

フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン トロント公開練習・完全収録 p.26

テレビ局の当日ニュースではフジテレビが独占インタ部分を放送していた様に思う。グランプリシリーズの放送権を持っているテレビ朝日、NHK杯主催のNHKは未だ放送していない。フジテレビの放送部分も『カトパン・インタ』の数分で、まだ持っていそう。この3局は試合前に独占インタ部分を放送して来そうだ。

日テレ・TBSは蚊帳の外だけど、同じ『暖炉の横に座って答えている映像』をニュースで放送していた。1日目にもテレビ局の対応をしたようなので、試合放映権を持っていないテレビ局合同で取材したのかもしれない。日テレは野村萬斎さんとの対談に絡んでいたり、24時間テレビでの繋がりもあって今後も侮れない。TBSは羽生選手と仲の良い織田信成さんルートしか持っていないと思うので織田さん次第。

2日目が“1日目の3分の1程度”になったという事から、速報性が要求される新聞関係者が1日目で帰ったのだろうか。

羽生選手の写真が青のアンダーアーマー着用なら1日目。2日目は赤のアンダーアーマー。去年から羽生選手が親しいカメラマンの要望に応えて、練習着の色を故意に変えているらしい。後で写真をチェックする時に同じ練習着だと混乱するから、と頼んだとか。ファンにもいつの写真か判って助かる。


羽生選手は物持ちが良いらしく、服も靴もカバンも同じ写真が多い。髪型も同じだし顔もそんなに変化していなく、特に笑った『簡単な顔(^-^)』になっている写真はいつのものか判別が難しい。


共同会見部分は『フィギュアスケートマガジン 2017-2018 プレシーズン』が7ページにわたってほぼ全文掲載。取材した10社の雑誌社の内、これだけのページを割くのは文字テロのベースボールマガジン社だけだろう。残りの9社は、対抗手段として『美麗写真or独占インタの独自性or他のイベントの取材を付ける』しか無いように思う。

意外だったのは、今回の『2017-2018 プレシーズン』号は写真が結構良かった。写真が欠点だったので、ここを改善してきたら他の雑誌は「文字テロ」なんて揶揄している場合では無いかもしれない。

24時間テレビのアイスショー放送で夏が終わる

8月26日に日本テレビ放送の『24時間テレビ』で羽生選手のアイスショーが放送された。本放送も勿論なのだが、ファンとしては翌日放送されるニュース番組『every』で舞台裏などが特集として放送されるので、そちらの方が楽しみだったりする。

羽生選手が小児喘息である事は、雑誌や新聞で記事になった事が何度かあるので、特別隠していた事ではない。ただ、その事をテレビで自分の口から語ったのは初めてかもしれない。


本放送と『every』で「ヘルシンキ世界選手権の2週間前にも発作が起きていた。」のは、ファンとしてはまさかの告白だった。何となく、「今はそこまで喘息は酷くないんじゃないかなぁー」と思っていたファンは多かったと思う。

“曲かけ(通し)練習は全然出来ない。痛くなるし、息吸えないし。追い込んでいくと、どうしてもそうなる可能性は高いので。でも、そこまで追い込めてるんだなぁとポジティブに考えてました。

四大陸選手権から世界選手権までが約5週間だったので、筋肉の回復・修復~追い込みまで丁度良いスパンかなぁと想像していた。羽生選手本人は『発作』を『追い込みバロメーター』の様に考えているようだし、もしかしたら『発作による追い込み停滞期』も見込んだ練習スケジュールを組んでいるのかもしれない。

“僕たちは普通の感覚を知らないっていうか、これが普通って思っています。”


本放送では短かった、少年との練習シーンも『every』では長めに放送された。級取り(バッジテスト)の課題の2Tの指導と演技を羽生選手が観ていた。

2Tが課題という事は、4級を目指しているのかな?

4級が取れると『ノービスA(11歳以上13歳以下)』の試合にエントリー可能。『ジュニア(13歳以上18歳以下)』が6級、『シニア(15歳以上)』が7級。ちなみに全日本選手権は7級で、地方ブロック大会から勝ち上がっていかなくては出場は出来ないので、なかなかの狭き門。

羽生選手が観ている目の前で、照明バチバチの中で少年は演技を披露。『これ以上の緊張状態は無いだろう』の状況を経験して、級取り本番はリラックスして臨めるんじゃないだろうか。


『言えないよ』のジャンプ構成は4T2本と3A。8月16日の『かめ太郎真夏の氷上カーニバル』での演技と同じ構成だったので、それも想像しながら観れて良かった。

ショーの照明は、距離感が取りづらくてジャンプなど難しいと聞いたことがある。私は基本どっちでも良いのだが(観れるだけで満足)、ただトレース(滑った跡)が照明のお陰で見えやすいのは気に入っている。暗闇の中、エッジの軌跡が白波の様にスーッと浮かび上がっていくのは観ていて気持ちがいい。飛び上がったときに飛び散る氷粒もショー照明だと見えやすいので、演技にそれが使われていると嬉しい。2015-2016シーズンのEXプロ『天と地のレクイエム』は飛び散った氷の粒が美しかった。

“せっかく(少年が)観ているし、目の前でやるんであれば、やっぱり難しい事をやりたいなぁと思ってましたし、僕が多分小さい頃にそういう演技を見たら、もの凄く勇気がもらえるし、もの凄く(少年が)練習に向かって良いイメージが付くと思った。”

確かに、あの『ギュルルン4T』をあんな特等席で観ちゃったら2Tのイメージがハッキリ脳に焼き付くだろう。


フィギュアスケートに関心のない一般男性の家族が「炎上してるらしいね」と言ったので、「あらら、半周しちゃったぁ?」と思った。

炎上している論点と放送内容が別物だったので、正直『もらい事故』という感じがしている。ただ、半周(ネットもスマホも操れて、オオモトを確認できる層)から一周(噂をへーと受け取る層に)まわる間に、勘違いする人が居そうで嫌だなぁと思っている。

できれば、本放送を違法動画だろうが何だろうが、とにかく観てねーと思っている。観れば、羽生選手の思いは解るハズだから。

 

かめ太郎真夏の氷上カーニバルが終わる

神奈川区制90周年記念事業『かめ太郎真夏の氷上カーニバル』に羽生選手が出演するニュースは、ファンの情報系SNSで知った。横浜市から配布される地域ニュースには載っていなかったので驚いた。

神奈川区HPのシンプルで自治体っぽいお知らせページを読むと、横浜銀行アイスアリーナに普段通っているちびっ子向けに告知されれば良さそうな、小さなイベントだった。

地方自治体のイベントなら大してニュースにはならないだろうから、テレビ神奈川で流れるか、神奈川区の報告ページでレポートが出てくれば良いなぁと思っていた。ただ、羽生選手の地元でのモニュメント設置式典に多数の応募があった前例もあるし、既にかめ太郎(誰だよ?)にも94組の募集に821通の申し込みがあったらしく『おおごと』になっている様子だった。

結局は各局ニュースで取り上げられ、イベントの様子を知ることが出来た。テレビ神奈川の視聴率も、跳ね上がっているかもしれない。


エキシビジョンのプログラムは『花になれ』だった。通常の照明の中で演じていたからか、4T、3A、4Tの全てのジャンプは決まっていた。

以前の『花になれ』の印象は、儚い・強がっている真っすぐな少年な感じだったが、今回のものはジャンプ構成やスピンの切れからも、もう儚さや強がりは無く『花になりました。なれますよ!なりましょう!』という印象だった。

“羽生選手、実は新フリーSEIMEIをやりたかったそうですが、前日に帰国したばかりであきらめました。直前の練習で3Aや4Tもミスしていましたが、本番ではジャンプ三つとも成功という集中力”

朝日新聞スポーツ部記者 後藤太輔氏のツイートより

確かに5クワドのSEIMEIをやるつもりだったら、2クワド3Aでも『楽』な方だったのか。リスフランの状態が良さそうで何より。

スケート教室の映像も流れて「もしかしたら修造みたいに熱血スケート塾になっちゃうかな?最後は子供も保護者も皆で泣いちゃうとか?」と、スポコン状態の羽生選手を危惧(期待?)したが、参加ちびっ子は初心者が多かったようで『優しい羽生先生』だった。

オリンピックシーズンのFS(フリースケーティング)がSEIMEI再演と発表された3

9日の公開練習から5日が経った。

SNSを覗くと『SP・FS共が再演』の衝撃は、少し落ち着いてきたようだ。「新プロ観たかった」と思っていた人も「とは言っても応援するけどね」「よく考えたらいい選択だ」に落ち着く人もいれば、「チートだ!横綱相撲だ!挑戦すべきだ!」って人も居たり。


羽生選手は戦績だけ観ると、ここ数年は金と銀しか獲っていない。普段スポーツニュース程度で、試合をガッツリ観ていない層には『勝って当たり前』レベルの選手に思われているんだろう。

実力はトップレベルなんだけど、試合をリアルタイムで観ていると勝って当たり前の試合なんてひとつも無かったし、ヒヤヒヤの連続だった。よく聞く『スポーツの残酷さ』と言う言葉を、運動音痴な私でもちょと実感できるようになった。


羽生選手の公開練習のニュースも週末を超え一段落した。

ファンは各局のニュースに流れる、細切れにされた練習映像をセッセと録画する。その中に『4T-3Tタノ(両手上げ)』がシレっと含まれていて、ファンの間で衝撃が走っていた。

85人とか90人とか言われるトロントに大集合した取材陣の中に、実行されたジャンプの希少性が解る人は居なかったんだろう(私も解る自信はない)。スタジオの誰もその事には触れず「頑張って欲しいですねぇ」とほのぼのしていた。


一番端折りが少ない記事が出た。Webスポルティーバより抜粋

“4回転ルッツも跳べますし、練習でもそこそこやっていますけど、今はそれを入れようとは考えていないですね。今のこの構成でしっかりきれいにまとめること。とはいっても後半に4回転を3本入れているから去年より確実に構成は上がっています。その意味でも、まずはひとつの『SEIMEI』をしっかり完成させたいなと思っています”

  まずはひとつの『SEIMEI』を  

早いうちにノーミス演技が出来てしまえば、『ふたつめのSEIMEI』もありえるのか?シーズン途中の構成上げも視野にある?なんて考えは、先走りすぎだろうか。

ベースボール・マガジンの想い出

「羽生選手のインタビューを詳しく掲載している雑誌がある」

と知って、バックナンバーまで買った『フィギュアスケート・マガジン』。

発行元は株式会社ベースボール・マガジン社。学生の時に友人が購入していたので聞き覚えがあった。


友人はプロ野球選手でアンダースロー投手の大ファンで、ベースボール・マガジン発行日には、いつも駅で購入して登校して来た。その球団と縁も所縁もない県在住だったのに、なんでその子がファンになったのか聞いたかもしれないけど覚えていない。

私は小遣で本を買うなら漫画派だったので、ユニホーム姿の野球選手表紙の雑誌を小遣いで買い、休み時間にニコニコ読んでいる友人の姿は印象的だった。ニュースやスポーツ新聞では巨人の記事が大半だったから、パ・リーグのその選手の情報を得るにはベースボール・マガジンが頼みの綱だったのだろう。羽生選手のインタビュー全文読みたさに『フィギュアスケート・マガジン』を買っている今は、当時の友人の気持ちが良くわかる。

友人は昼休みになると、午前中に読み込んでピックアップしておいたオススメの文章を、弁当を食べる私に披露してくれた。キャンプ中の選手の様子を時系列順に詳細描写するだけの『番記者記事』の存在を、その時初めて認識した。

その時はそういう編集がされていない記事の貴重さが解っていなかったが、羽生選手のファンになった今はとてもありがたい。


ベースボール・マガジン社の記者は、羽生選手の取材で現地に行くとマスコミ関係者から『文字テロ』と呼ばれているらしい。

それまでのフィギュアスケート雑誌界では『綺麗な写真多め+編集したインタビュー』というスタイルが定番で、フィギュアスケート・マガジンの『(写真はイマイチでも)選手がやった事言った事を密着全力レポート』という雑誌は黒船的存在だったのかもしれない。

フィギュアスケート雑誌が『インタビューを編集して掲載する』のは紙面のスペース上仕方が無いだろうと理解もできる。でも『フィギュアスケート・マガジン』のお陰で、(故意か過失か)編集でインタの印象が変わっている雑誌はSNSで指摘される。ネットニュース・記事も同様で、アクセス数稼ぎが目的のキャッチーな発言を殊更強調したものも指摘が入る。

羽生選手は「話が長い」と自分で認めているので、まぁ全文掲載は無理だろうが、あんまり端折りすぎて真意が伝わらない編集は私は好きじゃない。全部読んで自分で分析したいので、私は『読みテロ』なんだろう。